宅建の通信講座は、費用・合格率の読み方・給付金の3軸で選ぶと失敗しにくくなります。令和7年度の宅建試験は受験者245,462名に対し合格者45,821名(合格率18.7%)で、合格基準点は50問中33点。この分母を押さえずに各社の合格率だけを比べると判断を誤ります。
この記事でわかること
- 宅建試験の全国合格率18.7%と合格基準点33点という、比較の前提になる数字
- 各社が公表する合格率を横並びで比べてはいけない理由
- 主要な通信講座の費用レンジと価格差の中身
- 一般教育訓練給付金を使ったときの実質負担の計算
- 学習スタイル別にどの価格帯を選べばよいかの判断軸
公的情報源: 不動産適正取引推進機構「試験実施概況」/厚生労働省「教育訓練給付制度」(いずれも2026年7月19日確認)
結論を先に書きます
宅建の通信講座選びでいちばん多い失敗は、各社が公表する合格率をそのまま並べて比べてしまうことです。母数の取り方が会社ごとに違うため、数字の大小は優劣を示しません。
比較に使えるのは、費用・サポートの中身・給付金の対象かどうかという3点。ここに絞れば、価格差の意味がはっきり見えてきます。
- 令和7年度の全国合格率は18.7%、合格基準点は50問中33点(不動産適正取引推進機構)
- 各社の合格率は母数の定義が異なる(合格体験記の提出者を分母にする例など)ため横比較できない
- 費用は1万円台〜13万円弱まで開く。価格差は主に紙教材・添削・質問対応の有無
- 一般教育訓練給付金は受講料の20%・上限10万円。対象講座なら実質負担が下がる
宅建は受験者が20万人を超える大型試験で、通信講座の選択肢も多い分野です。だからこそ比較の軸を先に決めておかないと、広告の数字に引っぱられます。この記事では、公的なデータを起点に選び方を整理します。
宅建試験の合格率は18.7%|比較の前提になる数字
宅建試験とは、宅地建物取引士資格試験の通称で、不動産取引の専門家を認定する国家資格の試験です。試験は50問のマークシート方式で実施されます。
令和7年度の実施結果は、受験者245,462名・合格者45,821名・合格率18.7%でした(不動産適正取引推進機構「試験実施概況」・2026年7月19日確認)。
宅建試験の合格率と合格基準点の推移(不動産適正取引推進機構・2026年7月19日確認)
| 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点(一般受験者) |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 245,462名 | 45,821名 | 18.7% | 50問中33点 |
| 令和6年度 | 241,436名 | 44,992名 | 18.6% | 50問中37点 |
| 令和5年度 | 233,276名 | 40,025名 | 17.2% | 50問中36点 |
| 令和4年度 | 226,048名 | 38,525名 | 17.0% | 50問中36点 |
| 令和3年度(10月) | 209,749名 | 37,579名 | 17.9% | 50問中34点 |
注目したいのは合格率より合格基準点です。直近5回は33〜37点で推移しており、得点率にすると66〜74%が必要という水準になります。
「6割取れれば受かる」という感覚で計画を立てると足りません。講座を選ぶときも、この得点水準まで運んでくれる設計かどうかが判断材料になります。

「合格率◯%」を横並びで比べてはいけない理由
各社の広告では、全国平均を大きく上回る合格率が示されます。これらは虚偽ではありませんが、分母の定義が会社ごとに違う点を理解しておく必要があります。
たとえばスタディングは、2025年度試験の合格者数を「1,230名」と公表していますが、これは合格体験記を提出した受講者を数えた数字だと注記されています(公式・2026年7月19日確認)。累計合格者数は3,388名と示されています。
一方でフォーサイトは合格率75%、アガルートは令和7年度の一発合格率77.01%といった数値を公表しています(各社公式・2026年7月19日確認)。

問題は、分母が「アンケートに回答した人」「最後まで受講した人」など各社の基準で決まることです。途中で学習をやめた人が分母から外れれば、数字は自然に高くなります。
つまり、A社70%とB社80%を並べて「B社のほうが優れている」と読むのは成立しません。合格率は各社の実績の目安であって、講座間の優劣の指標ではないと割り切るのが安全です。
代わりに見るべきは、教材の形式・質問対応の有無・添削の回数といった、自分が続けられるかどうかに直結する条件になります。
通信講座と通学スクールの根本的な違いは、別記事で整理しています。
主要な通信講座の費用|価格差の中身は何か
宅建の通信講座は、1万円台から13万円弱まで開きがあります。同じ試験対策でこれだけ差が出るのは、含まれるサービスの範囲が違うからです。
主要3社の講座価格(税込・各社公式サイト 2026年7月19日確認)
| 講座 | コース例 | 価格 | 給付金の扱い |
|---|---|---|---|
| スタディング | ミニマム | 14,960円 | 公式ページに給付金の記載なし |
| スタディング | コンプリート(ペーパーレス) | 24,800円 | 公式ページに給付金の記載なし |
| フォーサイト | デジタルプラン | 19,800円 | 記載なし |
| フォーサイト | バリューセット1 | 59,800円 | 一般教育訓練給付金対象 |
| フォーサイト | バリューセット3 | 69,800円〜 | 一般教育訓練給付金対象 |
| アガルート | 入門カリキュラム/ライト | 54,780円 | 各自で要確認 |
| アガルート | 中上級カリキュラム/フル | 129,800円 | 各自で要確認 |

価格帯ごとの性格は次のように整理できます。
- 1万〜2万円台:スマホ完結型。動画とオンライン問題演習が中心
- 5万〜7万円台:紙のテキストや添削、質問対応が加わる
- 10万円以上:個別指導や講義時間の多い構成になる
安い講座が劣るわけではありません。移動時間に学習を進めたい人には、スマホ完結型のほうが続きます。逆に紙に書き込みたい人が低価格帯を選ぶと、学習効率が落ちることも。
価格差は品質差ではなく形式差、と考えると選びやすくなります。
スタディングの詳細な評判は別記事でまとめています。
教育訓練給付金で実質負担はいくら下がるか
対象講座を受講し、要件を満たせば、受講料の一部が支給されます。一般教育訓練給付金は受講料の20%・上限10万円(厚生労働省・2026年7月19日確認)。

計算はシンプルです。受講料59,800円の講座なら、支給額は約11,960円、実質負担は約47,840円になります。
給付金を使うときの手順
- 厚生労働省の検索システムで、その講座が対象かを確認する
- 自分が受給要件を満たすかをハローワークで確認する
- 受講を開始する(開始前の確認が前提)
- 修了後に支給申請を行う
注意点は2つあります。1つ目は、同じ会社の講座でもコース単位で対象・対象外が分かれること。フォーサイトの場合、バリューセット1〜3が一般教育訓練給付金の対象と案内されています(公式・2026年7月19日確認)が、デジタルプランには記載がありません。
2つ目は、受講開始前の確認が必要という点です。後から遡って申請できる制度ではないため、申し込みボタンを押す前に確認を済ませます。
対象講座の調べ方は別記事で詳しく整理しています。
なお、より支給率の高い特定一般教育訓練(40%・上限20万円)や専門実践教育訓練(50%・年間上限40万円)もありますが、対象となる訓練の種類が異なります。制度全体の違いはこちらで確認できます。
タイプ別の選び方|どの価格帯が合うか
低価格・スマホ完結型が向いている人
- 通勤時間や隙間時間が主な学習時間:動画と演習がスマホで完結する
- 費用を最優先で抑えたい:1万〜2万円台で一通りそろう
- 自分でスケジュールを管理できる:外部からの督促がなくても進められる
中〜高価格帯が向いている人
- 紙のテキストに書き込みたい:冊子つきコースを選ぶ価値がある
- 質問できる相手がほしい:独学で止まった経験がある人ほど効く
- 給付金を使いたい:対象コースは中価格帯以上に多い傾向
通信講座が向いていない可能性がある人
- 一人だと学習が止まる自覚がある:通学型や併用も検討する
- 今年度の試験まで日数が極端に少ない:得点率66〜74%までの距離を先に測る
- 受験の目的が定まっていない:資格を取る順番から考え直すほうが早い
資格を取る順番から整理したい場合は、こちらが参考になります。
よくある質問
Q1:宅建の通信講座はいくらぐらいが相場ですか?
主要各社の公式表示では、スマホ完結型が1万〜2万円台、紙教材やサポートが付くコースが5万〜7万円台、手厚い指導型が10万円以上という分布です(2026年7月19日確認)。価格差は主に教材形式とサポート範囲の違いによるものです。
Q2:合格率が高い講座を選べば受かりやすいですか?
各社の合格率は分母の定義が異なるため、単純比較はできません。合格体験記を提出した受講者を分母にしている例もあります。合格率よりも、教材形式・質問対応・添削の有無など、自分が続けられる条件で選ぶほうが現実的です。
Q3:宅建試験は何点取れば合格できますか?
合格基準点は年度によって変わります。令和7年度は50問中33点、令和6年度は37点でした(不動産適正取引推進機構)。直近5回は33〜37点で推移しており、得点率にすると66〜74%が必要な水準です。
Q4:宅建の通信講座に教育訓練給付金は使えますか?
対象になっているコースであれば使えます。一般教育訓練給付金は受講料の20%・上限10万円が支給されます(厚生労働省)。ただし同じ会社でもコース単位で対象・対象外が分かれるため、受講開始前に厚生労働省の検索システムで確認してください。
Q5:独学と通信講座はどちらがよいですか?
費用だけなら独学が安く済みます。ただし宅建は得点率66〜74%が必要な試験で、出題範囲も広いため、学習の優先順位を自分で組めるかどうかが分かれ目です。過去に独学で止まった経験がある場合は、質問対応やスケジュール機能のある講座のほうが完走しやすくなります。
まとめ|比較軸は3つに絞る
- 全国の合格率は18.7%、合格基準点は50問中33点(令和7年度)
- 各社の合格率は分母が違うため横比較しない
- 費用は1万円台〜13万円弱。差は品質でなく形式とサポート範囲
- 一般教育訓練給付金は20%・上限10万円。コース単位で対象が分かれる
- 選ぶ基準は自分が続けられる形式かどうかに置く
宅建は範囲が広く、学習が長期戦になりやすい試験です。続けられる形式を選ぶことが、結果的にいちばん合格率を上げる選択になります。給付金の確認だけは、申し込み前に必ず済ませてください。
免責事項
※本記事は不動産適正取引推進機構・厚生労働省・各講座運営会社の公開情報(2026年7月19日確認)をもとに整理した一般的な情報です。受講料・コース内容・給付金の対象可否・合格実績の算定方法は変更される場合があります。個別の給付金申請の可否・受給要件については、ハローワークおよび各講座事務局に必ずご確認ください。
