衛生管理者の通信講座は、まず勤務先の業種で第一種か第二種かを決め、そのうえで費用と給付金の対象かどうかを比べると選びやすくなります。令和7年度の合格率は第一種46.8%・第二種48.7%で、講座の価格は1万円台から4万円前後に収まります。受験には労働衛生の実務経験が要るため、申し込み前の確認も欠かせません。
この記事でわかること
- 受験に必要な労働衛生の実務経験の年数
- 勤務先の業種で決まる第一種と第二種の選び分け
- 令和7年度の合格率と、科目ごとの足切り
- 主要講座の受講料・形式・サポートの違い
- 教育訓練給付金を受け取れる講座と、受け取れないケース
公的情報源: 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」「統計」/ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」(いずれも2026年9月29日確認)
この記事の要点
- 第二種で担当できるのは情報通信業・金融保険業・卸売小売業など一定の業種だけ。製造業や建設業なら第一種
- 令和7年度の合格率は第一種46.8%・第二種48.7%(安全衛生技術試験協会)
- 合格には科目ごとに40%以上、合計で60%以上が必要
- 講座は1万円台〜4万円前後。受講料が2万円以下だと給付金は出ない
衛生管理者は、職場の衛生管理を担う国家資格です。会社から「取ってほしい」と頼まれて調べ始める人も多く、限られた期間で合格したい社会人向けの講座がそろっています。
講座選びで最初に迷うのは、第一種と第二種のどちらを選ぶかです。ここを間違えると、合格しても勤務先で使えないことがあります。
申し込む前に、受験資格の実務経験を確かめる
衛生管理者試験には受験資格が決められています。学歴に応じて、労働衛生の実務に従事した経験が必要です。
第一種・第二種衛生管理者の主な受験資格(安全衛生技術試験協会・2026年9月29日確認)
| 最終学歴 | 必要な労働衛生の実務経験 |
|---|---|
| 大学・短期大学・高等専門学校 | 卒業後1年以上 |
| 高等学校 | 卒業後3年以上 |
| 学歴を問わない場合 | 10年以上 |
職業訓練校を修了した人は、課程によって1年から4年の実務経験を求められます。受験資格は第一種・第二種で共通です。
通信講座を修了しても、受験資格は得られません。実務経験の年数を満たしているかを先に確かめ、足りない場合は受けられる時期から逆算して申し込みます。
第一種か第二種かは、勤務先の業種で決まる
第一種は、すべての業種の事業場で衛生管理者になれます。第二種は、有害業務と関連の少ない情報通信業・金融保険業・卸売小売業など、一定の業種の事業場に限られます(安全衛生技術試験協会・2026年9月29日確認)。
第一種と第二種の違い
- 担当できる事業場
- すべての業種
- 試験の中身
- 有害業務の問題を含む44問・400点
- 向く人
- 製造業・建設業など、有害業務がある職場の人
- 担当できる事業場
- 情報通信業・金融保険業・卸売小売業など一定の業種
- 試験の中身
- 有害業務の問題を含まない30問・300点
- 向く人
- オフィス中心の業種で、今の勤務先で使う人
図:勤務先が第二種の対象業種かどうかで決まる。迷ったら第一種(安全衛生技術試験協会・2026年9月29日確認)
試験の範囲も違います。第一種は、労働衛生と関係法令のそれぞれに有害業務の問題が10問ずつ加わります。第二種は3科目・各10問の構成です。
会社から取得を頼まれた場合は、どちらの種別が必要かを担当部署に確かめてから講座を選びましょう。転職で使う予定なら、業種を問わない第一種のほうが使える場面は広くなります。
合格率は第一種46.8%・第二種48.7%|足切りに注意
令和7年度の試験結果は、第一種が受験者66,401名・合格者31,046名で46.8%、第二種が受験者40,653名・合格者19,796名で48.7%でした(安全衛生技術試験協会「統計」・2026年9月29日確認)。
令和7年度 衛生管理者試験の結果(安全衛生技術試験協会・2026年9月29日確認)
| 種別 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 66,401名 | 31,046名 | 46.8% |
| 第二種衛生管理者 | 40,653名 | 19,796名 | 48.7% |
試験の構成と合格基準(安全衛生技術試験協会・2026年9月29日確認)
| 科目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 関係法令 | 有害業務10問(80点)+その他7問(70点) | 10問(100点) |
| 労働衛生 | 有害業務10問(80点)+その他7問(70点) | 10問(100点) |
| 労働生理 | 10問(100点) | 10問(100点) |
| 試験時間 | 3時間 | 3時間 |
合格するには、科目ごとに40%以上を取り、かつ合計で60%以上が必要です。合計点が足りていても、1科目でも40%を下回れば不合格になります。
講座を比べるときは、苦手になりやすい関係法令の演習がどれだけあるかを見ておくと安心です。第一種を受ける人は、有害業務の分野まで問題演習が用意されているかも確かめましょう。
資格ごとの難しさを横に並べて見たい場合は、こちらが参考になります。

主要講座の費用と形式を比較
衛生管理者の講座は、ほかの国家資格に比べて手ごろです。1万円台から4万円前後に収まり、違いは教材の形式と、質問・添削が付くかどうかに出ます。
主要講座の比較(税込・各社公式サイト 2026年9月29日確認)
| 講座 | 受講料 | 形式 | 質問・添削 | 一般教育訓練給付 |
|---|---|---|---|---|
| TAC(第1種・Web通信) | 23,100円 | 講義5回(1回2.5時間)のWeb受講 | 公式ページで要確認 | 公式ページに記載なし |
| アガルートアカデミー | 第一種29,480円/第二種26,180円 | オンライン講義 | 公式ページで要確認 | 公式ページに記載なし |
| ユーキャン | 39,000円 | 紙のテキスト(第一種6冊・第二種5冊) | 添削4回・質問1日3問まで | 対象 |
ユーキャンの標準学習期間は、第一種が6か月、第二種が4か月です(ユーキャン公式・2026年9月29日確認)。紙のテキストで少しずつ進めたい人に向いています。
TACは講義5回の短期集中型で、Web通信のほかに教室講座も選べます。アガルートには、第二種を持つ人が第一種を目指す「特例第一種」向けの講座(12,980円)もあります(各社公式・2026年9月29日確認)。
講座の形式と向いている人
- 価格より、学習にかけられる期間と場所で形式を選ぶ
- 短期集中の講義型試験日が決まっていて、1〜2か月で仕上げたい人
- オンライン講義型通勤時間などにスマホで進めたい人
- 紙のテキスト+添削型数か月かけて、書き込みながら覚えたい人
図:形式の違いが価格の違い。続けられる形式を選ぶ(各社公式・2026年9月29日確認)
通信講座全体の選び方や、ほかの資格の講座との価格差を見たい場合はこちらをどうぞ。

教育訓練給付金を使えるか、会社負担かを先に確かめる
一般教育訓練給付金は、受講者本人が支払った受講料などの20%・上限10万円が、修了後にハローワークから支給される制度です(ハローワークインターネットサービス・2026年9月29日確認)。
衛生管理者の講座で対象と確認できたのは、ユーキャンでした。受講料39,000円で計算すると、支給は7,800円、実質負担は31,200円になります。
受講料を払う前の確認順
- 誰が払うかで、確かめる先が変わります。
- 1会社が費用を出すか確認会社から取得を頼まれたなら、費用補助の有無を先に聞く
- 2自費なら講座が給付の対象か確認厚生労働省の教育訓練講座検索システムでコース名まで照合する
- 3受講料が2万円を超えるか確認20%の額が4,000円以下なら給付金は出ない
- 4修了後1か月以内に申請雇用保険の加入期間3年以上(初めてなら1年以上)が条件
給付金の対象は、受講者本人が支払った費用。
図:会社負担かどうか→給付の対象か→2万円を超えるか、の順に確かめる(ハローワークインターネットサービス・2026年9月29日確認)
気をつけたいのは、20%の額が4,000円を超えないと支給されないというルールです。受講料が2万円以下の講座は、対象講座であっても給付金は出ません。
衛生管理者は講座の価格が低めなので、この線に近い講座が多くなります。給付金を当てにするなら、受講料が2万円を超える対象講座かどうかまで確かめてください。
受け取れる人の条件(ハローワークインターネットサービス・2026年9月29日確認)
- 受講開始日の時点で、雇用保険に加入していた期間が3年以上ある(初めての人は1年以上)
- 離職している人は、離職から受講開始まで1年以内である
- 修了日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ申請する
会社から取得を頼まれた場合は、受講料や受験料を会社が負担する制度がないかを、自分で払う前に聞いておきましょう。会社の補助が使えるなら、給付金の条件を調べる手間も省けます。
対象講座の調べ方は、こちらの手順どおりに進めてください。

状況別の選び方
2万円台の講義型が向いている人
- 受験日が決まっていて時間が短い:講義5回前後で要点を押さえられる
- 会社が費用を出してくれる:給付金の対象かどうかを気にしなくてよい
- 第二種を持っていて第一種を目指す:特例第一種向けの講座で範囲を絞れる
4万円前後のテキスト+添削型が向いている人
- 数か月かけて少しずつ進めたい:標準4〜6か月の学習計画に沿って進む
- 自費で受けて給付金を使いたい:対象講座なら受講料の20%が戻る
- わからない点を質問したい:添削と質問で弱い科目を早めに見つけられる
講座を申し込む前に確かめたい人
- 労働衛生の実務経験が足りない:受験できる時期まで待つ
- 勤務先の業種がはっきりしない:第一種・第二種のどちらが必要か先に聞く
- 転職のために取りたい:ほかの資格と比べてから決めても遅くない
転職での評価も含めて資格を比べたい場合は、こちらが参考になります。

よくある質問
Q1:衛生管理者の通信講座はいくらぐらいですか?
主要講座では、TACの第1種Web通信が23,100円、アガルートアカデミーが第一種29,480円・第二種26,180円、ユーキャンが39,000円でした(各社公式・2026年9月29日確認)。1万円台から4万円前後に収まります。
Q2:第一種と第二種はどちらを受ければいいですか?
勤務先の業種で決まります。第二種で担当できるのは、情報通信業・金融保険業・卸売小売業など有害業務と関連の少ない一定の業種だけです。製造業や建設業などでは第一種が必要になります(安全衛生技術試験協会)。
Q3:実務経験がなくても受験できますか?
受験には労働衛生の実務経験が必要です。大学・短大・高専を卒業した人は1年以上、高校を卒業した人は3年以上、学歴を問わない場合は10年以上が目安になります(安全衛生技術試験協会)。
Q4:衛生管理者の講座で教育訓練給付金は使えますか?
対象講座であれば使えます。ユーキャンの衛生管理者講座は一般教育訓練給付の対象です。支払額の20%が4,000円以下だと支給されないため、受講料が2万円以下の講座では受け取れません。
Q5:どのくらいの点数で合格できますか?
科目ごとに40%以上を取り、かつ合計で60%以上が合格の基準です。第一種は400点満点、第二種は300点満点で、1科目でも40%を下回ると不合格になります(安全衛生技術試験協会)。
まとめ|種別を決めてから講座を比べる
- 受験には労働衛生の実務経験が要る(大卒1年・高卒3年など)
- 第二種は一定の業種に限られる。製造業・建設業などは第一種
- 令和7年度の合格率は第一種46.8%・第二種48.7%
- 合格には科目ごと40%以上・合計60%以上が必要
- 給付金は支払額の20%・上限10万円。受講料2万円以下だと出ない
最初に決めるのは、講座より種別です。勤務先で使える種別を確かめてから、形式と給付金で講座を絞る。この順番なら、申し込んだあとで迷うことはほとんどありません。
免責事項
※本記事は安全衛生技術試験協会・ハローワーク・各講座運営会社の公開情報(2026年9月29日確認)をもとに整理した一般的な情報です。受講料・コース内容・給付金の対象可否は変更される場合があります。受験資格の判定は安全衛生技術試験協会、給付金の受給要件はハローワークにご確認ください。

