保育士資格は、筆記試験なら独学でも十分に狙えます。ただし合格には、最終学歴で条件が変わる受験資格を満たすことと、独学で対策しにくい実技試験を越えることが必要です。合格率は近年おおむね約20〜25%(全国保育士養成協議会・2024年度は約26.3%)。本記事は受験資格の判定から独学の現実的ルートまでを整理します。
この記事でわかること
- 保育士資格は筆記なら独学で狙える。壁になるのは受験資格と実技試験
- 受験資格は最終学歴で変わる(高卒・中卒は実務経験が必要な場合がある)
- 合格率は近年約20〜25%(全国保育士養成協議会・2024年度は約26.3%)
- 独学が難しい理由は9科目6割・ニコイチ科目・実技の3点
- 合格科目免除(3年)を使えば、複数年での分割合格も現実的
主な出典: 全国保育士養成協議会(保育士試験の指定試験機関)/こども家庭庁「保育士試験」/厚生労働省「教育訓練給付制度」(参照)
保育士資格は独学で取れる?結論と全体像
先に結論です。保育士資格は、筆記試験であれば独学でも十分に合格を狙えます。市販のテキストと過去問だけで合格する人は毎年少なくありません。
保育士資格(保育士試験ルート)とは、年2回実施される筆記9科目と実技試験に合格して取得する国家資格です。学校に通わず、独学と受験だけで取得できる点が、保育士を目指すうえで大きな魅力になります。
ただし、独学の難しさは筆記そのものよりも「受験資格」と「実技試験」に表れます。この2つを最初に押さえておくと、独学の計画が立てやすくなります。
独学が向く人・慎重に考えたい人
- 独学が向く人:自分で学習計画を管理でき、費用をできるだけ抑えたい人。すでに大学・短大・専門学校を卒業し受験資格がある人
- 慎重に考えたい人:受験資格を実務経験で満たす必要がある人、実技試験(ピアノ・絵・言葉)に不安がある人、独学だと途中で挫折しやすい人
他資格と比べた保育士の難易度の位置づけは、資格難易度ランキングで勉強時間・合格率の目安とあわせて確認できます。
独学の前に確認|受験資格は最終学歴で決まる
先に結論です。保育士試験の受験資格は、最終学歴によって条件が変わります。まずは自分が受験できるかを確かめることが、独学の第一歩です。

大学・短大・専門学校(2年以上の専修学校専門課程)を卒業していれば、学部・学科を問わず受験できます。保育や福祉と無関係の学部卒でも問題ありません。ここに当てはまる人は、受験資格の心配は不要です。
一方で、高卒・中卒の場合は実務経験が条件になることがあります。判断が分かれやすいので、次の目安で確認してください。
最終学歴別の受験資格の目安(全国保育士養成協議会・要件は要公式確認)
| 最終学歴 | 受験資格の目安 |
|---|---|
| 大学・短大卒(学部不問) | そのまま受験可 |
| 専門学校卒(2年以上の専修学校専門課程) | そのまま受験可 |
| 大学在学中・中退 | 2年以上在学かつ62単位以上修得で受験可 |
| 高校卒業 | 1991年3月31日以前の卒業は受験可。1991年4月1日以降の卒業は児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要 |
| 中学卒業 | 児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上の実務経験が必要 |
高卒・中卒で実務経験の要件に届かない場合は、保育士養成課程のある学校に通うルートも選択肢になります。この場合は独学ではなく通学・通信での養成課程が前提です。
なお受験資格の要件は制度改正や個別事情で変わります。実際に申し込む前に、必ず全国保育士養成協議会の公式案内で最新の条件を確認してください。
難易度と合格率|独学が「難しい」と言われる3つの理由
先に結論です。保育士試験の合格率は近年おおむね約20〜25%(全国保育士養成協議会・2024年度は約26.3%)で、決して簡単ではありません。難しさは主に3つの理由から生まれます。

数字だけ見ると2割前後で難関に見えますが、科目ごとの合格を積み上げる仕組みを理解すると、独学でも十分に手が届きます。独学がつまずきやすいポイントは次の3つです。
独学合格を阻む3つの壁
- 9科目すべてで6割:筆記は9科目あり、各科目で6割以上の得点が必要です(全国保育士養成協議会)。1科目でも6割に届かないと、その回は合格になりません
- ニコイチ科目の罠:「教育原理」と「社会的養護」は両方6割以上でセット合格という扱いです。片方だけ6割でも、もう片方が届かないと両方とも不合格になります
- 実技試験の存在:筆記に合格しても、その先に実技試験があります(次章で詳しく解説します)
勉強時間の目安は諸説ありますが、おおむね約100〜180時間とされます。1日1〜2時間なら、数か月〜半年ほどが現実的な学習期間です。
独学の最大の壁は実技試験
先に結論です。独学で本当に差がつくのは筆記ではなく、客観的な評価を得にくい実技試験です。ここを軽く見ると、筆記に受かっても最後で足踏みします。

実技試験は「音楽・造形・言語」の3分野から2分野を選び、それぞれ50点満点中30点以上で合格です(全国保育士養成協議会)。内容は次のとおりです。
実技試験の3分野(2分野を選択)
- 音楽:課題曲をピアノ等で弾き歌いする。伴奏と歌の両立が必要
- 造形:保育の一場面を時間内に色鉛筆で描く。構図と塗りのスピードが問われる
- 言語:課題のお話を子ども向けに3分間で素話(すばなし)する
筆記は市販の過去問で正解が分かるため、独学でも到達度を測れます。一方で実技は、自分の演奏・絵・話が合格ラインかを自分では判断しにくいのが独学の弱点です。
対策としては、演奏や素話をスマホで録画して客観的に見返す、造形は制限時間内に描き切る練習を繰り返す、といった「本番条件での自己チェック」が有効です。実技に不安が強い場合は、実技指導のある通信講座を部分的に使う選択もあります。
独学で合格する現実的ルート|勉強時間と複数年計画
先に結論です。独学は一発合格にこだわらず、合格科目免除を使って計画的に進めると、無理なく合格に近づけます。

保育士試験には合格した科目を3年間免除できる仕組みがあります(全国保育士養成協議会)。つまり、1回で9科目すべてに受からなくても、複数回に分けて合格を積み上げられます。
独学合格までの現実的な進め方
- 受験資格を確認:まず自分が受験できるかを判定する(前掲の学歴別の目安)
- 筆記を計画:科目数が多い年は、得意科目から確実に6割を取り、ニコイチ科目は両方まとめて対策する
- 合格科目を免除:受かった科目は最大3年間免除。1年で全科目が難しければ2〜3年計画に切り替える
- 実技を仕上げる:筆記合格後、選んだ2分野を本番条件で練習して仕上げる
働きながらや育児をしながらの学習では、週単位で科目を割り当てると続けやすくなります。平日は1科目ずつインプット、週末に過去問で到達度を確認する、といったリズムが現実的です。
一発合格を狙うより、3年で確実にという発想のほうが、独学では挫折しにくいといえます。
独学と通信講座はどっちが得?|費用と挫折率で判断
先に結論です。費用を最優先なら独学、挫折リスクと実技対策を重視するなら通信講座が向きます。判断は「手出しの費用」と「続けられるか」で分けると迷いません。
独学の教材費は、テキストと過去問をそろえておおむね1〜2万円ほどが目安です。通信講座は数万円〜が中心ですが、実技指導や質問対応、学習ペース管理が付く点が違います。
独学と通信講座の比較(費用・サポート・向き不向き)
| 比較軸 | 独学 | 通信講座 |
|---|---|---|
| 費用の目安 | 約1〜2万円(教材費のみ) | 数万円〜(給付金対象の講座あり) |
| 実技対策 | 自分で客観評価する必要あり | 添削・指導がある講座が多い |
| 学習管理 | すべて自己管理 | スケジュール・質問対応あり |
| 挫折リスク | 高め(自己管理次第) | 抑えやすい |
| 向いている人 | 費用を抑えたい・自己管理が得意 | 実技が不安・確実に進めたい |
通信講座の中には、教育訓練給付の対象講座があり、要件を満たして修了すると受講料の一部が支給されます。実質コストで比べると、独学との差が縮まる場合もあります。
給付金の仕組みは教育訓練給付制度の使い方で、対象講座の見分け方は対象講座一覧と見分け方で確認できます。まず独学で始めて、実技だけ講座を足すといった併用も選択肢です。
保育士取得後のキャリアや、他資格との比較で迷う場合は、転職に有利な資格おすすめ10選や、在宅・再就職を軸に選ぶ主婦の資格おすすめもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1:保育士資格は本当に独学で取れますか?
取れます。保育士試験は年2回実施され、筆記9科目と実技試験に合格すれば学校に通わなくても取得できます。市販テキストと過去問で合格する人は毎年います。ただし独学では、受験資格の確認と、客観評価を得にくい実技試験の対策がカギになります。まず自分に受験資格があるかを確かめてから学習を始めるのが確実です。
Q2:保育士試験の合格率と難易度はどのくらいですか?
合格率は近年おおむね約20〜25%(全国保育士養成協議会・2024年度は約26.3%)です。難しさの主因は、筆記9科目すべてで6割以上が必要な点と、「教育原理」「社会的養護」が両方6割でセット合格になる点です。逆に言えば、科目ごとに合格を積み上げられるため、複数年計画なら独学でも十分に狙えます。合格率は年度で変動するため、最新値は公式発表でご確認ください。
Q3:高卒や中卒でも独学で受験できますか?
条件つきで受験できます。高校卒業は1991年3月31日以前の卒業なら受験可、それ以降の卒業は児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要です(全国保育士養成協議会)。中学卒業は児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上の実務経験が要件になります。要件を満たせば独学での受験も可能です。詳細は必ず公式案内で確認してください。
Q4:独学の勉強時間はどのくらい必要ですか?
目安は約100〜180時間とされます(諸説あり)。1日1〜2時間の学習なら、数か月〜半年ほどが現実的な期間です。科目数が多いため、得意科目から確実に6割を取り、合格科目免除(3年)を活用して2〜3年計画に分けると、働きながらでも続けやすくなります。実技はこれとは別に、本番条件での練習時間を確保しておくと安心です。
Q5:独学と通信講座はどちらを選ぶべきですか?
費用を最優先なら独学、実技対策や学習管理を重視するなら通信講座が向きます。独学の教材費は約1〜2万円が目安、通信講座は数万円〜で実技指導や質問対応が付きます。通信講座には教育訓練給付の対象講座もあり、実質コストで見ると差が縮まる場合があります。まず独学で始め、実技だけ講座を足す併用も現実的な選択肢です。
まとめ|独学は「受験資格の確認」と「実技対策」から始める
- 保育士資格は筆記なら独学で狙える。壁は受験資格と実技試験
- 受験資格は最終学歴で変わる(高卒・中卒は実務経験が必要な場合あり)
- 合格率は近年約20〜25%(全国保育士養成協議会・2024年度は約26.3%)
- 難しさは9科目6割・ニコイチ科目・実技。合格科目免除(3年)で分割合格も可
- 費用重視なら独学、実技・管理重視なら通信講座。併用も選べる
保育士資格の独学は、「受験できるか」を確かめてから「実技をどう越えるか」を設計すると、道筋がはっきりします。合格率だけを見て諦めず、科目ごとの合格を積み上げる仕組みを味方につければ、独学でも十分に届く資格です。
まず受験資格を確認し、筆記は得意科目から6割を確実に、実技は本番条件で練習する。この順番で進めれば、独学でも無理なく合格に近づけます。
免責事項
※本記事は一般的な情報を整理した参考情報です。受験資格・試験科目・合格率・実技試験の内容は制度改正や年度により変動します。合格率は各年度の公表値をもとにした目安で、回・年度により変わります。受験資格の可否や最新の試験要項は、必ず全国保育士養成協議会・こども家庭庁の公式案内でご確認ください。教育訓練給付の対象・支給要件は制度改正や講座の指定状況で変わるため、個別の申請はハローワーク・各講座事務局など専門窓口にご相談ください。

